私が多分5歳位の時の話しです。
父親は公務員だったのですが給料がそんなに良くなかったのか、母親が病院の調理員の仕事をする事になりました。
母親は私達に「病院のご飯炊きの仕事にいくからね」と言ってました。
病院は子供の足で10分程で行ける距離の所にあったのですがちょっと寂しかったですね。
私には一つ下の弟がいたのですが「兄ちゃんなんだからちゃんと面倒みてあげてね」と母親から言われ鍵を首に掛けられました。
鍵っ子です。
ただ私は嬉しい事が一つありました。
それは、母親が仕事へ行くときに私達に10円ずつお小遣いをくれるんです。
今から50年程前の10円で何が買えたかというと
ヤクルトに似た容器の飲み物があったと記憶しているのですが
それが5円、そしてシュ-クリ-ム(クリ-ムが少しだけ入っているやつ)が5円で買えたんです 確か・・・
今じゃ考えられないですよね。
私達兄弟はお小遣いの10円を持って毎日おやつを買いに行くんです。
田舎ですので店の人も顔見知りですから「いつもの!!」みたいな感じですね。
こんな感じで鍵っ子生活を楽しんでいたのですが、ある日ちょっとした問題が起きました。
いつものように弟と店に買い物に行ったのですが、ある商品が私達の眼を釘付けにしました。
それは『マーガリント-スト』です(当時もこんなネ-ミングだったかは定かではありません)
これが物凄く美味しそうに並んでいるんです。
パンにマ-ガリンが塗ってあり見ているだけで味が伝わってきました。
ここで何が問題かというと『価格』です。
これが確か25円だったんです。
私達は毎日10円しか貰えませんので買う事ができないんです。
その日は『マーガリント-スト』を横目に、いつもの物を買って家へ帰りました。
母親に「お金が欲しい」と言えなかった私達は考えました。
そして出した結論は
『マーガリントースト』が食べたい時は
シュ-クリ-ム1個・飲み物1個を買い、家に帰ってから半分にして二人で食べる。
こうする事によって10円の出費。
10円×2人-10円=10円になり
翌日
10円×2人+10円=30円になります。
翌日には『マーガリント-スト』を一つ買う事ができるんです。
何故一つで良いかというと『マーガリント-スト』はサンドしてあるので2枚あるのです。
パンは1枚ずつ食べられるから一つだけ買えば良いんです。
そして飲み物を一つ買って半分にする。
翌日、買いました!
『マーガリント-スト』
嬉しかったですね~。
その後は家に帰り、私達二人が至福の時を過ごしたのは言うまでもありません。
『ない袖は振れぬ』という言葉があります。
今の世の中は『ない袖も振れる』事があります。
しかし無い袖を振り続けると必ずつけが回ってきます。
様々な目標を達成する為には我慢をしなくてはならない時だってあります。
妻と買い物に行き『マーガリント-スト』見ていたら、こんな事を思い出させてくれました(^^♪