最近、ポロポロと昔の話しが想いだされるのですが、30年程前の話しです。
母親は私の息子である長男が初孫になるのだが溺愛もいいとこだった。
私が子供の時はあんなに厳しかったのに、孫に対してはそれはそれは優しかった。
孫は目に入れても痛くないというが正にその通りだった。
そんな婆ちゃん(ここからは婆ちゃんと呼びます)が、3歳になるかならないかの孫を連れて商業施設へ買い物に行った時に事だ。
婆ちゃんは、ファストフ-ドなんかに一人で行った事もないのに孫にせがまれたので恐る恐る入店して、店員さんに時間をかけて教えてもらいながら何とか注文をして食べたらしい。
孫が喜んで食べている顔を見ているだけで幸せだったのだろう。
食べ終わった二人は店を出てス-パ-の入り口のベンチで休憩をする事にした。
ここで事件が起きた。
孫が隣のベンチに座っているご婦人二人をじっと見つめている事に婆ちゃんは気が付いた。
二人のご婦人は婆ちゃんと同じくらいの年齢。
婆ちゃんが二人のご婦人を見ると乳酸飲料を飲んでいた。
乳酸飲料が大好きだった孫は飲みたくて見つめていたのだ。
婆ちゃんが「飲みたいかい?」と聞こうとした瞬間
「いやだね~この子 じっと見てるよ これは私達のものだよ そんなに見てたら飲みずらいじゃないか~」
と二人のご婦人が孫を見ながら言ってきた。
これを聞いた婆ちゃん『ブッチ~ン!!』と切れちゃいました。
孫の手を取りスーパ-の飲料売り場へ行き5Pの乳酸飲料を買い物かご一杯に買い込み、さっきまで座っていたベンチへ戻ったのです。
そして孫に
「ほら~好きなだけ飲みなさ~い よその人のものなんて欲しいなんて思ってないもんね~」
と言って飲ませたのです。
この光景を見た二人のご婦人。
バツ悪そうに、そそくさと立ち去ったという事だった。
孫と帰ってきた婆ちゃんは、この出来事をドヤ顔で私達夫婦に話してくれた事を想いだした。
ただ一つ反省をしていた事がある。
20分程歩いて商業施設に行った婆ちゃん、当然帰りも歩きである。
袋一杯の乳酸飲料を手に提げて帰ってくるのがちょっと大変だったのでタクシ-で帰ってくるはめになってしまった。
それでも婆ちゃんはスカッとしたようだ。
この時は婆ちゃんの顔をみているだけで幸せな気分になれた(笑)