薄明りのロマンス  

22時を少し過ぎた6月中旬の高速道路のサービスエリア。

その場所からは海を見下ろす事ができる。

これがなかなかの絶景である。

この景色を眺めていた一組の熟年カップルがいた。

パ-キングには1台の車があるだけ。

サービスエリアの照明から少し外れた場所で二人は夜景を眺めていた。

この二人はどうやら夫婦のようだ。

「二人でこんな夜景を見るのは何年ぶりかしら 子供たちが成人するまでは二人なんてなかったわね」

「夜景なんか見た事あったか?」

「あるわよ 付き合っていた頃ね。 貴方 連れて行ってくれたじゃない。 
 どうせ覚えていないでしょうけどね。」

と言いながら妻は笑っていた。

そんな妻の顔を横目で見ながら夫は照れくさそうに

「覚えているさ・・・」

と小声で言った。

外には二人だけ。

小声でも妻にはしっかりと聞こえていたはずだ。

妻は夫との距離を詰めると夫の腕を自分の腰の位置に引っ張った。

普段は鈍感な夫も空気を読んだのか そっと引き寄せた。

笑顔の妻、もちろん夫も。

この時の妻は、夜景よりも夫の「覚えているさ」の言葉が嬉しかったようだ。

                 
  

愚痴と感謝

二週に1度 皮膚科 プラス 食品の買い出し。

3ヶ月に一度 脳外科。

半年に一度 呼吸器科。

これは二世帯住宅で暮らしている父母の予定である。

そして私の予定でもある。

皮膚科は父なのだが

この皮膚科 名医なのか患者数が多く受付をしてから4時間以上はかかる。

ですから私も自分の仕事を調整しながら病院へ連れていく。

といっても今は携帯電話とPCがあれば仕事ができる時代なので何とかなる。

何とかならないのが父親の自分勝手な行動である。

幸い土曜日も診療がある病院なのでで、14時までに受付をすれば診察できるという事で助かっている。

私は土曜日も仕事(一応AM 私達の世代は半ドンと言っているが・・・)なので間に合う。

いつも父親は

「14時までに受付をすれば良いから慌てて帰ってこなくても良いぞ」と

さも善人のように優しい言葉をかけてくる。

自宅から病院までは20分程あれば行ける場所。

クレ-ム処理等で遅くなり11時30分を過ぎると

「何時頃になりますか?うどんを食べる時間はありますか?婆さんが食べたいみたいです」

とSMSに送信してくる。

こっちは14時までに受付すれば良いと聞いているので、その時間に間に合えば・・・と思い行動している。

うどん 丸亀製麺だ。食べたいのは自分なのに婆さん(母親)のせいにしている。

この人はいつもそうだ。

都合の悪い事は全て人のせいにする。

まだ車を運転していた時に、車庫から出庫させる時に電動シャッターが開き切る前に動かすものだから
4回シャッタ-を破壊している。

この事を注意すると

「あれはシャッタ-が故障していて、一度上がったシャッタ-が何もしないのに下がってくるんだ!!」

と言ってきた。

呆れた。

皮膚科に連れていく時は母親も連れていき、うどんを食べる。

そして診療が終わり本日のメイン 買い物だ。

マイカゴを三つ持ってくる。

2週間分といっても老夫婦2人分なのに。

一つは母親に渡し買い物カートに乗せる。

カートを押して歩くと少しは安全だ。

父親は大きいカートにカゴを二つ乗せ買い物をスタ-トする。

40分程して終了した父親のカ-トを見ると 山積み!!

カゴに入りきっていない。

私はレジ前で、それを整理してレジカウンタ-に乗せる。

やっと終わる~と思っていたの束の間。

会計をしていた父親が私に近づてきて

「お金貸してくれ 足りなかった」

なにやってるんだか 思わず

「財布に入っているお金を計算して買いなさい」

と言いながらお金渡す。

精算金額を見ると30,000円を超えている。

おいおい二人なのに何買ってるのよ~。

これ 何度もあるのです。

お金が無い訳ではないので帰宅すると直ぐに返してくるのは良いのですが、足りないと言ってくる金額が10,000円以上なのです。

呆れます。

この時も言い訳

「婆さんが大根と〇〇好きだから買い過ぎた」

するとすかさず母親が

「そんなに食べてない!それだけでそんな金額にはならない!!」

と怒っている。

これが二週間に一度やってくる。

でも親ですから・・・。

救いなのは、この事態を妻に話して二人で笑っていられるからな・・・

何も言わずに話しを聞いてくれる妻に感謝ですわ。