平穏

20数年前

仕事先で母親がくも膜下出血で倒れた。

母親が倒れる瞬間を見ていた同僚が救急隊員に状況を説明すると

救急隊員は即座に脳外科の受け入れ先を確認して搬送してくれた。

連絡を受けた私は病院へ行き医師からの説明を聞くと

「くも膜下出血です この状態で30分以内に搬送されて50%の生存率 更に手術で50%の生存率」と言われた。

続けて「命が助かってもご本人に戻れるかはわかりません」という言葉。

何とも言えない言葉だった。

そんな母だが元気に暮らしている。

私の顔みて猫の名前を呼び 

「あ~ちがうちがう ○○だ」

ととぼけた事を言うが元気だ。

「夜が寝られないのさ~」

と言ってくる。

それはそうだ

日曜日の昼間に覗きに行くと昼寝している

それも3時間以上。

「眠くなったら寝れば良いんだから気にするな」

と言っておく。

「そうだね 朝早く起きる必要もないからね」

と笑っている。

と思ったらテレビを見て笑っていた。

新 なにがあったのか劇場

私は二世帯住宅に住んでいる。

1階には私の両親、2階には私達夫婦と息子。

それと1階と2階を自由に行き来する猫がいる。

ある日、仕事を終えて帰宅した私はいつものよう1階へ顔を出し

「ただいま」と言おうとすると

居間が異常なほど散らかっている。

まるで泥棒にでも入られたような光景だ。

ソファ-には母親が顔をしかめたようにして横になっている。

これは何があった?と思った私は

「どうした!?なにかあったのか?」

と母親に声をかけた。

直ぐには返事がなく何度も声をかえてやっと返事が返ってきた。

「あ~お帰り 今何時?」

となんとも呑気な返事。

居間の状況を聞くと

「あら~ 〇〇(猫)だね~」

「なんかね~ 寝てたらね~ 起きろって 顔に手を押し当てたりしてきたんだけど眠いからかまわなったのさ~
そしたら2階へ行ったりこっちに来たり走り回ってたのさ~」

なるほど、我が家の猫の仕業だったのか。

このやりとりをしていると、私の声に気付いたのか

「にゃ~」

っと少しかすれた声で我が家の猫がやってきた。

「お前ね~ なにがあったのかと思ったべや~(北海道弁です)」

と言いながらほっとした瞬間だった。

因みに母親のしかめっ面は、スッピンがそのように見えたようだ。

気にするので母親には言わなかったが・・・。

タイトルは、笑点に出演している 林家 たい平さんの「新 なにかあったのか劇場」を真似してみました(笑)