僕の家

一週間以内に引き取り手が見つからなければ僕は保健所へ行くらしい。

この家のお姉さんが涙目になりながら言っていた。

僕のお母さんはこの家の車庫に住み着いて僕と3匹の妹を匹出産した。

お姉さんと僕のお母さんな仲良しだ。

だって毎日ご飯を用意してくれていたからだ。

お姉さんは僕たちが産まれると御飯を持ってきては僕たちに

「可愛がってくれるところ探さないとね~」

と笑顔で言っていた。

産まれてから2ヶ月半ほど経ったある日3組の夫婦がやってきた。

「あら~可愛いね~ この子連れてかえろうかな~」

とお姉さんに言っている。

暫くすると妹たちが居なくなり僕だけになった。

「あなたも早く迎えにきてくれる人が見つかると良いね」

と僕に言った。

妹たちが居なくなり寂しかったけれど僕はお母さんと一緒に居られるので別に誰の迎えも要らない。

そう思っていた。

ある日

「この子連れて行ってくれないだろうか?」

遊びにきていたお兄ちゃんに言っている。

「僕のお父さんもお母さんも猫は好きなのですが4ヶ月程前に飼い猫がなくなり、その時のような悲痛な思いをしたくないからもう猫を飼うのはやめると言われているから無理かな~」

こう言われたお姉さんは、涙を流しながら何回も頷き

「後一週間で引き取り手が見つからなければ保健所へ連れて行かなくてはならないのよ」

と言っている。

保健所?何処?僕は何処かへ連れて行かれるのか?

そう思い聞いていた。

話しを良く聞いていると、僕を可愛がってくれるところではないらしい。

お姉さんはそこへ僕を絶対に行かせたくないようだ。

ハンカチで何度も涙を拭いている。

お姉さんが悲しんでいる。

僕がこのお兄ちゃんの所へ行くとお姉さんは喜んでくれるのか?

よし!

僕はお兄ちゃんの顔を見上げ鳴いた。

すると僕を抱き上げてくれた。

「連れて帰りたいけどな~ 駄目だって言われるからな~ ごめんな」

そう言って僕をそ~っと下に置き背を向けて歩いていってしまった。

お姉さんは寂しそうだ。

僕も寂しくなってきた。

翌日、お姉さんと男の人が話している声が聞こえた。

保健所の人が来たのか?

僕はそう思いお母さんのお腹に顔を埋めた。

男の人が近づいてきて僕を抱き上げてカゴのようなものに入れた。

もう駄目だと思った僕は目をつぶっていた。

車に乗せられた僕は30分程経った場所で降ろされ建物へ入った。

そこで僕に

「ほら 今からここがお前に家だ!まだお父さんとお母さんには言ってないから、帰ってきたら挨拶するんだぞ!!」

お兄ちゃんに優しく言われた。

お兄ちゃんだったのだ!

どうりで優しく抱き上げてくれていた。

今日からここが僕の家なんだ~。

でもお父さんとお母さんが帰ってきたら何と言われるのだろう・・・。

少しして二人が帰ってきた。

お兄ちゃんが二人と話しをしているようだ。

「駄目だっていっただろう!!」

お兄ちゃんが怒られている!?

誰かが近づいてきた。

お父さん!?

僕を見て

「連れてきてしまったものはしょうがない!」

そう言いながら僕を抱き上げた。

そんな怖そうな人でもない。

お兄ちゃんに言われた通り

「にゃ~」

と挨拶をした。

「なあんだ~こいつ まだ赤ちゃんだから鳴き声がか弱いな~」

と笑われた。

僕はこれが精いっぱいだ。

次にお母さん?に抱かれた。

「あら~」

と言いながら頬ずりをしてきた。

気持ちよかった。

下に住んでいる爺ちゃん、婆ちゃんにも挨拶してきた。

僕の家が決まった。

僕の家」への4件のフィードバック

  1. ハッピーエンドで良かったです

    妹たちだけが引き取られて、それからは保健所行の話しで、どれだけ小さな胸を痛めたことでしょう

    お兄ちゃんの作戦が大成功ですね(*^-^*)

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  2. こんばんは
    yuubishyoutenさん家に行ったのですか
    それは幸せ。良かった良かった
    保健所はね・・・・こんなに可愛いを見てしまうとね
    息子さんも優しい。。仔猫に癒されますね^^

    いいね: 2人

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